飽和、ねじれ、contorsion

2025年4月8日 (火) 14:52時点におけるDummy index (トーク | 投稿記録)による版

RTTにおいて、テンペラメントが飽和しているとは、その音程の集合がマッピングまたはコンマ基底から示唆される集合と一致していることを表す。マッピングが細かすぎる場合をcontorsion (contorted)といい、コンマ基底が粗すぎる場合をねじれ (torsion)という。

Contorsion

テンペラメントのマッピングがcontorsionであるとは、そのジェネレーター音程から組み立て可能な音程の中に元となる純正音程との対応がつかない音程があることを言う。

ねじれ

テンペラメントをコンマ基底で定義することを考える。例えばミーントーンは 81/80 = -4 4 -1] をテンパーアウトする。これはもともとあった5リミットの音程の3次元格子が、「5/1 と (3/2)^4 を同一視する(すなわち 1/1 と 81/80 を同一視する)」という条件により 5/1 の方向の点が片付いて2次元格子に縮小することになる。イメージしづらかったら、5/1 の方向と 3/2 の方向だけを取り出した方眼紙(2次元格子)を、5/1 と (3/2)^4 が重なるように巻くと方眼紙のすべての点が (3/2)^n として(1次元格子)説明できるようになるイメージを思い浮かべてください。

では 81/80 ではなく (81/80)^2 = 6561/6400 = -8 8 -2] をテンパーアウトするという定義にしたらどうなるか? 1/1 と (81/80)^2 を同一視するのだが、では 81/80 はどうなるのか? この定義は 81/80 を 1/1 と同一視しろとは書いていない。方眼紙の例なら巻き付け方を2倍に緩めて、1点の (81/80)^n だった音程が (81/80)^(2n) と (81/80)^(2n+1) に分裂することになる。そして (81/80)^2 = 1/1 となり、81/80 の方向はべき数 2 の捩れ部分群となる。

ここまでが純粋に抽象的な群の定義として見た場合である。ここからレギュラーテンペラメントとしてピッチへのマッピングを目指すと、(81/80)^2 = 1/1 が 0 セントである以上 √(81/80)^2 = 81/80 も 0 セントにするしかない。もし仮に周波数が複素数であるとか、周波数と空間オーディオの音源位置情報を各音符に盛り込むとかいうことがあれば、これを過不足なく写すマッピングを [math]\displaystyle{ \left[ \begin{array}{rrrrrl} +1200 \mathrm{cent} & \langle & 1 & 1 & 0 & ]\\ +697 \mathrm{cent} & \langle & 0 & 1 & 4 & ]\\ +\pi \mathrm{radian} & \langle & 0 & 0 & 1 & ] \end{array} \right] }[/math]

などと組み立てることができるが、実数の周波数のみが求められているのであれば3行目を残しておく余地はない。つまり3行目の捩れ部分群が生じるような定義はRTTのスコープ外と考え、最初からきちんと 81/80 がテンパーアウトされるようにコンマ基底を正規化するべきだということである。