トーク:テトラコード

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intense diatonicの訳語の検討

en:Ptolemy's intense diatonicをjmedia.wikiが「プトレマイオスの強烈な全音階」と訳していますが、そこはwikipediaを機械翻訳に掛けただけのクローンサイトであって、訳語としての実績とは数えられません。というかそもそも"intense"という語のチョイスには異論がある状況です。

"intense"を採用し続けるかは英語圏の人達にまかせるとして、日本語訳でそれに全賭けするのはどうなのかと思うわけです。

ならどれに寄せるかというと…いったんギリシャ語までさかのぼってシントニックとか?

(なぜテトラコードのトークページでこの話をしているかというと、明らかにテトラコードの名称をそのままダイアトニックスケールに使用しているからです。)

証拠集め

Claude Sonnet 4.5との対話の一部:

古代ギリシャ語の語釈を確認させてください。## 語釈

### **μαλακόν (malakón / malacon)**

古代ギリシャ語の「μαλακός (malakos)」は印欧祖語の「*melh₂-(柔らかい、弱い)」に由来します。

基本的な意味:
- **柔らかい** (物理的な触感)
- **緩やかな、弛緩した**
- **繊細な、優美な**

音楽理論における含意: アリストクセノスは弦の張力に着目し、より緩く張られた弦(低い音程)を指すために使用しました。

### **σύντονον (syntonon)**

「συντονον (syntonon)」は「緊張した」を意味し、アリストクセノスの理論では、より強く張られた弦(高い音程)を指す言葉です。

基本的な意味:
- **緊張した、張り詰めた**
- **強く引き締められた**

音楽理論における含意: より張力の高い弦の状態を表現しています。

## 翻訳の問題

ハリー・パーチが著書で「intense」と「soft」という翻訳を使用したため、2000年頃の音律理論家の多くが同じ訳語を使っていたが、「tense(緊張した)」と「relaxed(弛緩した)」という訳の方が、アリストクセノスの弦の張力に基づく方法論をより適切に伝えるとされています。

つまり、これらは**弦の物理的な張力の状態**を表す言葉であり、そこから転じて音楽の性格(緊張感 vs 穏やかさ)を表現するようになったのです。

と出ましたが、記述の大部分はRAGでtonalsoftの[8]などを参照したようです。このようなまとまった批判はtonalsoftぐらいでしか見られませんが、少なくともintenseとtenseを併記している例ならいくつか見つかります。

カタカナではない既存の日本語訳: 個別の名前については未発見。属についてはハルモニア音階/陰影音階/全音階[1]というのがあった。(現代のchromaticをそう訳すべきということではない。)

各時代での呼ばれ方:

プトレマイオスの調律
Divisions of the Tetrachord プトレマイオス『ハルモニア論』
ギリシャ語–ラテン語対訳[2]
ポルピュリオスによる注解
のさらに英語訳[3]
ツァルリーノ『ハルモニア教程』[4]
46/45, 24/23, 5/4 38 + 75 + 386 enharmonic Enarmonium Enharmonic Enharmonico di Tolomeo
28/27, 15/14, 6/5 63 + 119 + 316 soft chromatic Chroma molle(malacon) Soft chromatic Chromatico molle
22/21, 12/11, 7/6 81 + 151 + 267 intense chromatic Chroma intensum(syntonon) Tense chromatic Chromatico incitato
(なぜか訳し分けている)
21/20, 10/9, 8/7 85 + 182 + 231 soft diatonic Molle diatonum(malacon) Soft diatonic Diatonico molle
28/27, 8/7, 9/8 63 + 231 + 204 diatonon toniaion Medium molle diatonum
(meson malacon)
Soft entonic/Tonic diatonic Diatonico toniaco
256/243, 9/8, 9/8 90 + 204 + 204 diatonon ditoniaion Diatonum ditoniæum/ditonicum Ditonic diatonic Diatonico diatono
(di-がdia-になってしまっている)
16/15, 9/8, 10/9 112 + 204 + 182 intense diatonic Intensum diatonum(syntonon) Tense diatonic Diatonico syntono
(なぜか訳し分けている)
12/11, 11/10, 10/9 151 + 165 + 182 equable diatonic Diatonum Æquabile Even diatonic Diatonico equale

[9]のTable 4.も参照

(純粋なプトレマイオスの原典には当たれていない。)

さらに[10]の記述から考えるに、ハルモニア論の対訳と称しているものの実際にはほかの理論家の言葉遣いが盛り込まれているようだ。(まあ用語のアップデートは必要だけれど)プトレマイオス→ポルピュリオス→ブリュエンニオス→ラテン語対訳

[11](アイコンがPDFへのリンク)を読めばもっと詳しく用語の変化を追えそう。でもこの人自身はintense diatonicと呼んでいるのか。

考察

素直に「柔らかい」の対義語狙いで「硬い」や「緊張した」や「引き締まった」の語を採用して、どういう意味かを聞かれた場合の回答例:

  • (全て吐き出す)テトラコードの構成の一番上のステップが(まずenharmonic/chromatic/diatonicに分類され次に細かい分類として)大きめの音程なら中間音が下がり気味=低い音=柔らかい音、小さめの音程なら中間音が上がり気味=高い音=硬い音となる。(高低と硬軟の関連付けはフラット (記号) #歴史にも見られますね)
  • (初心者向けに)全音が 9/8 より狭いことを硬い、広いことを柔らかいと言います。5L 2sのステップ比とは逆方向になって直感に反しますが、8:9 の音と 9:10 の音を聴き比べて納得してください。

シントニックやシントーナスは現代だと「同じ周波数」という意味に取られるが、同じ張力で同じ音ならむしろアイソトニックと言いそうなもの。古代の用法では「張力と共に」で追加の張力を加えて音を高くするという意味だと考えられるらしい。

例えばシントニック・ダイアトニックと呼んでも問題ない説:

  • 古代ギリシャのtonosは音程(または張力)だったが現代のtoneは主に音高である。
  • スケールの説明としてシントニックという言葉が出てきたときに「同じ周波数」と解釈するのはナンセンスである。
  • 上で少し言及したが、syn-とiso-の意味の差を踏まえるべき。
    • 例として、アイソクロナスは「一定のペース」であり、シンクロナスは「同時にうまく働く」ことである。裏打ちと8ビートを同時にやるとそれぞれ音の数は違うがそれはシンクロしていないということではない。
    • 9/8 と 10/9 が協力して 5/4 を構成するというsynthesis。(※あくまで民間語源です!)
    • 現実にはシントニックのほうばかりが音の意味を担当することになって、使い分けが育たなかった…
  • 「同じ張力」だと考えたい人なら同じ張力で弦長を整数比で扱ったものということにする。(それだと広義に純正律だという以外何も言っていないことになるが)

問題ある説:

  • まさに「同じ周波数」としか思えないのでナンセンスである。
  • 「同じ周波数にする」なのでtempered outされるのが前提の言葉だと思っている。(※scaleではないがsyntonic commaについて実際にXA Discordであった意見)

整理すると

  • intense
  • syntonic
    • ギリシャ語由来
    • 時代で意味のずれが大きい(土台がすり替わったのでやっかい)
    • ツァルリーノが採用
  • tense
    • 現代の英語ではこれが妥当
  • というわけで、根本的にはPtolemy's syntonic/intense/tense diatonicはどれも同じことを同じように表現した名前
    • malacon→molle→softのように必要とあらば語源を気にせずわかりやすく言い換えるべき、日本語でも
  • 強烈な
    • intenseの訳だろうけどその意味で取るべきなのか? 大げささだけでも取り除くべきでは(「強い」とか)
  • インテンス?
  • シントニック?
  • 硬い?固い?張った?緊張した?
  • 引き締まった、絞った(toned body)
  • (案募集)
  • 仮の名前で記事を作成するとしたら「プトレマイオスの5リミットなダイアトニック」でしょうか。一応これで特定はできます。

--Dummy index (トーク) 2025年11月7日 (金) 16:54 (UTC) WIP解消--Dummy index (トーク) 2025年11月11日 (火) 14:26 (UTC) 最後の書き換え--Dummy index (トーク) 2025年11月14日 (金) 13:25 (UTC)

色々書きましたが、音楽史研究やテキスト分析なら用語にまぎれがないことが優先でintenseと書かれるのも仕方ない、原語のままカタカナ化するのも自然な話です。自分の言語に訳す必要があるのは自分でそれを道具として使いたい人達、つまり我々microtonalistであると。(そして並の音律理論家は1オクターブ12音を調律することにしか興味がないので7音のZarlinoは正解かつただの出発点であるしテトラコードに基づく呼び方なんて必要としていない)

そういえば「ソフトなダイアトニック」のほうはどうしましょう。一方だけカタカナなのもおさまりが悪いような(でもそもそもmalaconとsyntononとかsoftとintenseとかも対義語のつもりなのか?と聞きたくなります)

ここまでの訳語候補: 強烈な、強い、硬い、張った、引き締まった --Dummy index (トーク) 2025年11月14日 (金) 13:25 (UTC)