MOSスケール
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MOS (英: moment of symmetry) は、ピリオド以外の音程がそれぞれ2種類の大きさになる周期的な音階である。
全音階の例
全音階はMOSスケールの古典的な例である。これは5個の大きなstep(全音)と 2 個の小さなstep(半音)の計7音に分割する。大きなstepを 'L' と、小さなstepを 's' と略記することによって、全音階は5L 2sと短く書ける。長音階の分割の様子を書き下した場合、LLsLLLs となる。他の旋法はこのパターンの転回形である(例えば LsLLsLL は自然短音階である)。MOSスケールの重要な特徴は、1stepは長2度と短2度、2stepは長3度と短3度、3stepは完全4度と増4度、4stepは完全5度と減5度等のように各音程が2種類の大きさになることである。これは旋律的短音階 (LsLLLLs) では成り立たない。ここには5度が完全(3L+1s)と減(2L+2s)と増(4L)の3種類ある。このため旋律的短音階はMOSスケールではない。
定義
いくつかの等価な定義がある:
- Maximum variety 2 (上記のような、音程の種類数のこと)
- Binary and has a generator (ステップがLとsの2種類で、かつ1本のジェネレーターチェーンで音階のすべての音を渡ること)
- Binary and distributionally even (ステップがLとsの2種類で、かつなるべく均等にLとsを配置させること)
- Binary and balanced (任意の k において、 k-ステップの音程である u と v の間の差が 0 または L − s = c であること)
- Mode of a Christoffel word. (有理数 p/q の傾きによる Christoffel word とは、2次元格子上で (0, 0) から (p, q) までを一意に結ぶ経路であって、x 軸と y = p/q*x に挟まれ y = p/q*x のなるべく近くを通る経路である。+x方向の1ステップを'L'に、+y方向の1ステップを's'に読み替えるとステップパターンの表現になる)
それぞれの特徴づけは、ステップの大きさが3種類以上ある状況に一般化すると等価ではなくなる。
歴史と用語
MOSという用語とスケール構成法は、アーブ・ウィルソンによって1975年に発明された。彼の原著論文は Anaphoria.com の Moments of Symmetry にアーカイブされている。Kraig Gradyによる導入 Introduction to Erv Wilson's Moments of Symmetry も参考になる(いずれも英語)。
時には、スケールはピリオドに加え等価音程(equivalence interval)に関連して定義される。等価音程は、ピッチクラスが繰り返しになる音程である(通常はオクターブになる)。MOS上の等価音程はピリオドの整数倍であり、それがピリオドの2回以上の積み重ねであるならそのMOSはMulti-MOSと呼ばれる。等価音程とピリオドが一致するならそのMOSはStrict MOSと呼ばれる。等価音程のことを考えていないMOSはMOSという以上の名前がない。
いくつかの注目すべき例外を除き、ウィルソンはピリオドと等価音程が一致するMOSに注目していた。それゆえに、一部の人々はStrict MOS以外を含めるときにdistributionally even scale (DE)という用語を好む。MOSまたはDEスケールはまたwell-formed scalesとしても知られている。この用語はNorman CareyとDavid Clampittによる1989年の論文で使われた。非常に多くの興味深い仕事が、これらのアイディアを拡張する学界においてなされた。MOSのアイディアはまたSecondary/bi-level MOSを含む。これもウィルソンの構想から刺激を受けたものである。See en:muddle.
MOSスケールを作曲に使う場合には、ピリオドと等価音程はよくオクターブに設定される。スケールを定めるにはさらにステップ比(step ratio, 全音半音比)が必要である。これは大きなstep(L)と小さなstep(s)の間の(対数スケールで、例えばセント値での)比である。これは通常 L/s と書かれる(s/L のほうがゼロ除算の心配をしなくて済むという利点はあるのだが)。異なるステップ比は同じMOSパターンでも大きく異なって聞こえるスケール(異なるテンペラメントとしての解釈の余地すらある)を生み出すことができる。なのでステップ比を変化させる範囲について考慮することが有用である。TAMNAMSシステムにおいて特定の比と比の範囲について命名がなされている。
命名法
任意のMOSパターンは大きなstepと小さなstepの数、それに等価音程で明確に特定できる。step数の部分は通常 "5L 2s" のように書く。もし2種類のstepのどちらが大きいと限らない話をしたい場合、"5a 2b" というように書く。
等価音程がオクターブの場合、等価音程の記述は省略される。それ以外の場合、step数部分の後ろに "⟨等価音程⟩" を続けて4L 5s⟨3/1⟩のように書く。U+27E8とU+27E9の山括弧が推奨されるが、不等号記号による "<等価音程>" も許容される(HTML文法との衝突などに注意)。
MOSのための命名システムがいくつか提案されている。 See en:MOS naming.
ステップ比の範囲
MOSによる旋律は、音程がどう調律されたかだけではなく、stepのサイズの影響も受ける。Lがsと似た大きさのMOSはなめらかで柔らかに響く。Lがsよりずっと大きいMOSはギザギザで劇的に響く。このためステップ比はスケールの特性として重要である。
An in-depth analysis of this can be found at en:Step ratio.
性質
基本的な性質
- それぞれのMOSスケールは2個の子MOS (娘MOS) スケールを持つ。aL bs MOSの子は (a + b)L as (ステップ比が 2:1 より小さい aL bs と同じジェネレーターで生成される)と aL (a + b)s (ステップ比が 2:1 より大きい aL bs と同じジェネレーターで生成される)となる。
- aL as以外のそれぞれのMOSスケールは親MOSを持つ。 aL bs の親は、a > b の場合は bL (a − b)s となり、a < b の場合は aL (b − a)s となる。
- Strict MOSの場合、a と b は互いに素である。a と b の最大公約数が、等価音程内のピリオドの繰り返し数となる。
高度な議論
以下参照されたい
- Mathematics of MOS, a more formal definition and a discussion of the mathematical properties.
- Recursive structure of MOS scales, a description of how MOS scales are recursive and how one scale can be converted into a related scale.
- MOS scale family tree, a tree initially described by Erv Wilson that organizes scales by parent-and-child relationship, which also helps illustrate mos recursion.
- Generator ranges of MOS, organized by number of scale steps and quantity of L/s steps.
- MOS diagrams, visualizations of the MOS process.
- How to Find Linear Temperaments, by Graham Breed
変種
- MODMOS scales are derived from chromatic alterations of one or more tones of an MOS scale, typically by the interval of L-s, the "chroma".
- Muddles are subsets of MOS parent scales with the general shape of a smaller (and possibly unrelated) MOS scale.
- MOS Cradle is a technique of embedding MOS-like structures inside MOS scales and may or may not produce subsets of MOS scales.
- Operations on MOSes
As applied to rhythms
MOS structures and thinking can be applied to the design of rhythms as well.
David Canright was the first to suggest Fibonacci Rhythms in 1/1. This led to Kraig Grady to be the first to apply MOS patterns to rhythms. Two papers on the subject can be found here:
- A Rhythmic Application of the Horagrams from Xenharmonikon 16
- More on Horogram Rhythms
Listen
This is an algorithmically generated recording of every MOS scale that has 14 or fewer notes for a total of 91 scales being showcased here. Each MOS scale played has its simplest step ratio (large step is 2 small step is 1) and therefore is inside the smallest EDO that can support it. Each MOS scale is also in its brightest mode. And rhythmically, each scale is being played with its respective MOS rhythm. Note that changing the mode or step ratio of any of these MOSes may dramatically alter the sound and therefore this recording is not thoroughly representative of each MOS but rather a small taste.
関連項目
- Diamond-mos notation, a microtonal notation system focussed on MOS scales
- Metallic MOS, an article focusing on MOS scales based on metallic means, such as phi
- Category:MOS scales, the category including all MOS-related articles on this wiki
- Gallery of MOS patterns
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