ジェネレーター
| これは上級者向けページです。 経験豊富な読者がトピックの進んだ部分を学べるように書かれています。 対応する初心者向けページは ジェネレーターとピリオド です。 |
ジェネレーター(generator)は群論の用語で生成元といい、それを繰り返し積み重ねることで音律あるいは音階の音高を生成する音程である。
MOSスケールの場合、ひとつのジェネレーターを積み重ねてピリオドという音程を基準に単音程化する(=法として剰余を取る)ことでピリオドの範囲内のMOSスケールを構成する。(※剰余群のように説明しましたが、RTTとの整合性の面ではピリオドも生成集合に含めてランク2の自由アーベル群だと考えることをおすすめします。)ピリオドとジェネレーターがMOSを定義する2つの音程である。例えば:
数学的定義
ある群の生成集合(generating set)または生成系とは、その群の元の部分集合であり、どんな真部分群の部分集合になることもないものをいう(この条件さえ満たせば元の群を生成できる?)。生成集合が有限集合にな(れ)るなら、その群は有限生成となる。その群がアーベル群でもあるなら、有限生成アーベル群という。生成集合の要素を生成元という。例えば、{2, 3} は 2.3.5 サブグループの真部分群である 2.3 サブグループに含まれるので 2.3.5 サブグループの生成集合ではないし、{2, 9} は 2.3 サブグループの真部分群である 2.9 サブグループに含まれるので 2.3 サブグループの生成集合ではない。See: 純正律サブグループ #群の指数
最小生成集合(minimal generating set)は、生成集合であってその中に「冗長な」あるいは「不要な」生成元がないものをいう。純正律サブグループやレギュラーテンペラメントのような自由アーベル群においては、この概念は基底 (Wikipedia) と同じものになる。例えば、{2, 3, 5} と {2, 3, 5/3} は 2.3.5 サブグループの基底になれる。しかし、{2, 3, 5, 15} は基底ではない。15 = 3 × 5 であるから、集合が生成集合であることを保ったまま 15 を取り除くことができる。
群の演算を加法的に書くことにすると、[math]\displaystyle{ \lbrace g_1, g_2, \ldots g_k \rbrace }[/math] を生成集合とした場合、群の任意の要素 [math]\displaystyle{ g }[/math] は以下のように書ける:
[math]\displaystyle{ g = n_1 g_1 + n_2 g_2 + \ldots + n_k g_k }[/math]
ここで各 [math]\displaystyle{ n_i }[/math] は整数である。群の演算を乗法的に書くことにすると、
[math]\displaystyle{ g = {g_1}^{n_1} {g_2}^{n_2} \ldots {g_k}^{n_k} }[/math]
となる。
音楽との関係
重要な例がレギュラーテンペラメントによりもたらされる。テンペラメントの特定のチューニングを加法的に表現するとき、生成元はセント値で表される音程であり、乗法的に表現するとき、周波数比で表される音程である。純正律サブグループなら、基底を構成する生成元は正の有理数であるが、典型的には指定された素数リミットまでの範囲の素数である。抽象的レギュラーテンペラメントの生成元を求めようとするときにこの2つの例が出会う。
慣習
ランク2以上の系において、ジェネレーターはピリオドに対立するものと位置づけられる。具体的には、最初のジェネレーター(※順序付けられた基底)がピリオドと呼ばれ、残りがジェネレーターと呼ばれる。
純正律サブグループとマッピング行列の標準形というさらなる慣習と組み合わさることにより、多くのテンペラメントにおいてオクターブまたはその整数分の1がピリオドとなる。しかしながら、これはそのテンペラメントから非オクターブな音階を作成したり、テンペラメントを異なる基底に基づいて表現したりすることを妨げるものではない。