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'''テトラコード'''、'''テトラコルド'''(英: tetrachord)とは通常、[[完全4度]]音程(純正性を不問とする)を、音を2つ追加することによって3つの音に分割したものを指す。 | |||
[ | テトラコルドは、世界中の多くの音楽に於ける伝統的な基盤であり、{{en仮リンク|John Chalmers|John Chalmers}}の『[https://eamusic.dartmouth.edu/%7Elarry/published_articles/divisions_of_the_tetrachord/index.html Divisions of the Tetrachord]』の中では以下のように語られている。 | ||
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テトラコルドは、より複雑な音階構造や和声構造を作り上げるための要素である。これらの構造は、地中海東部の古典文明に由来していることで知られる単純な7音音階から、多くの調を持つ実験的なガムートまで、多岐にわたる。さらに、ヨーロッパ、{{en仮リンク|近東|Arabic, Turkish, Persian music}}、カトリック教会、正教会、イラン、インドなど、世界の多くの音楽の伝統的な音階は、今でもテトラコルドをベースにしている。このように、テトラコルドは世界中の多くの音楽を理解するための基本とされるのである。 | |||
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==古代ギリシアの属種(ゲノス)== | |||
古代ギリシア人は、最大の音程である「CI」と呼称される音程(英語の"characteristic interval"に由来する)の大きさによって、エンハルモニオン、クロマティコン、ディアトノンの3つの主要な属種を区別した。今日の理論では、ヒュペルハルモニオンと呼ばれる第4の属種が追加されている。 | |||
;ヒュペルハルモニオン属 | |||
:CIは425¢より大きい。 | |||
;エンハルモニオン属:CIは長三度に近く、425¢と375¢の間に位置する。 | |||
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;ディアトノン属:CI(および他の音程)は、250¢以下の「[[全音]]」に近似している。 | |||
===プトレマイオスのカタログ=== | |||
プトレマイオスは『ハルモニア論』の中で、いくつかの歴史的なテトラコルドを分類し、特定の理論家に帰属させている。 | |||
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|+アルキュタス属種 | |||
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|+プトレマイオスの調律 | |||
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!『ハルモニア教程』での呼称<ref>[https://tcm-minken.jp/publication/IE_B11202101.pdf][https://www.medieval.org/emfaq/zarlino/article2.html][https://imslp.org/wiki/Le_Istitutioni_Harmoniche_(Zarlino,_Gioseffo)]</ref> | |||
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|46/45, 24/23, 5/4 | |||
|38 + 75 + 386 | |||
|エンハーモニック | |||
|Enharmonico di Tolomeo | |||
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|85 + 182 + 231 | |||
|ソフトなダイアトニック | |||
|Diatonico molle | |||
|- | |||
|28/27, 8/7, 9/8 | |||
|63 + 231 + 204 | |||
|ディアトノン・トニアイオン | |||
|Diatonico toniaco | |||
|- | |||
|256/243, 9/8, 9/8 | |||
|90 + 204 + 204 | |||
|ディアトノン・ディトニアイオン | |||
|Diatonico diatono | |||
|- | |||
|16/15, 9/8, 10/9 | |||
|112 + 182 + 204 | |||
|強烈なダイアトニック | |||
|Diatonico syntono | |||
|- | |||
|12/11, 11/10, 10/9 | |||
|151 + 165 + 182 | |||
|均等なダイアトニック | |||
|Diatonico equale | |||
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=== スーパーパーティキュラー音程 === | |||
古代ギリシャで使われていたテトラコルドの記述には、テトラコルドのステップが[[スーパーパーティキュラー]]であることを好む傾向が見られる。 | |||
==ジンス(中近東音楽におけるテトラコルド)== | |||
:''[[ジンス]]も参照'' | |||
アラブの音楽理論に於いては、テトラコルドに似た概念が存在する。[[ジンス]](複数形'''アジュナース''')とは、アラブの[[マカーム]]を構成するために用いられる複数の階段状の音程の集合である。 | |||
==テトラコルドの一般化== | |||
すべてのテトラコルドは完全四度という音程を共有するが、他の2つの音程は異なっている。完全四度を仮定し、aとbとする可変音程があった場合、テトラコルドを一般化して下記のように書ける: | |||
{{ | 1/1, a, b, 4/3 | ||
このテトラコルドを完全五度の上にコピーすることで、下記のようにヘプタトニックスケール(七音音階)を作れる: | |||
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3a/2, 3b/2, 2/1 | |||
4/3も3/2の間の音程を9/8とした別の書き方が存在する: | |||
[テトラコルド], 9/8, [テトラコルド] | |||
当然テトラコルドはその複製と対となる必要はない。例えば、1/1, c, d, 4/3など: | |||
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3c/2, 3d/2, 2/1 | |||
[テトラコルド1]、9/8、[テトラコルド2] | |||
当然順番は逆に並べられる。 | |||
==平均律におけるテトラコルド== | |||
当然、4/3の近似値を含む平均律には、それぞれ独自のテトラコルドの系列が存在し、[[7平均律]]から始まり、そのテトラコルドは1つだけ存在する: | |||
1 + 1 + 1 | |||
平均律におけるテトラコルドを指定するために、ハイフンを使用した表記法を使用できる。このテトラコルドは次のように表される: | |||
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=== [[10平均律]]のテトラコルド === | |||
別の例を考えてみる。10平均律の場合、4度で完全四度として機能する間隔があり、その値は480セントである。したがって、この間隔は、2つの1度ステップと1つの2度ステップの任意の組み合わせに分割可能である: | |||
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!テトラコルド表記 | |||
!ステップ間のセント数 | |||
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|0, 240, 360, 480 | |||
|} | |||
これらのテトラコルドは全て互いに回転したもので、ギリシア的な分類ではCIが240セントであり、250セント未満であるがためにこれらは全て「ディアトノン」と分類される。 | |||
==完全四度でない分割== | |||
作曲家は、完全四度以外の四度をテトラコルドを構成する材料として扱うこともある。低数の平均律には減四度や増四度を含むものがあるものの、[[6平均律]]、[[8平均律]]、[[9平均律]]、[[11平均律]]、[[13平均律]]、[[16平均律]]などに於いては完全四度に似たものが存在しない。 | |||
また、21/16、43/32、26/19、11/8のような純粋でない完全四度を分割することもできる。 | |||
==ノンオクターヴスケールとテトラコルド== | |||
10分の1を3等分すると、3つの4分の1のサイクルが生じる。この分割を短十度で行うと、それらの4分の1のは完全四度のように見える。 | |||
{{En仮リンク|Carlos Gamma|Carlos Gamma}}の例: | |||
* {{En仮リンク|Carlos Serafini|Carlos Serafini}}の「[http://www.seraph.it/dep/det/GloriousGuitars.mp3 Glorious Guitars]」([http://www.seraph.it/blog_files/e8a36018d6b782c8ff7bc2416fa7ea5b-47.html ブログ記事]) | |||
== 脚注 == | |||
<references /> | |||
==関連記事== | |||
* [[Wakalixのテトラコルド]] | |||
2026年1月10日 (土) 09:29時点における最新版
テトラコード、テトラコルド(英: tetrachord)とは通常、完全4度音程(純正性を不問とする)を、音を2つ追加することによって3つの音に分割したものを指す。
テトラコルドは、世界中の多くの音楽に於ける伝統的な基盤であり、John Chalmers (en) の『Divisions of the Tetrachord』の中では以下のように語られている。
テトラコルドは、より複雑な音階構造や和声構造を作り上げるための要素である。これらの構造は、地中海東部の古典文明に由来していることで知られる単純な7音音階から、多くの調を持つ実験的なガムートまで、多岐にわたる。さらに、ヨーロッパ、近東 (en) 、カトリック教会、正教会、イラン、インドなど、世界の多くの音楽の伝統的な音階は、今でもテトラコルドをベースにしている。このように、テトラコルドは世界中の多くの音楽を理解するための基本とされるのである。
古代ギリシアの属種(ゲノス)
古代ギリシア人は、最大の音程である「CI」と呼称される音程(英語の"characteristic interval"に由来する)の大きさによって、エンハルモニオン、クロマティコン、ディアトノンの3つの主要な属種を区別した。今日の理論では、ヒュペルハルモニオンと呼ばれる第4の属種が追加されている。
- ヒュペルハルモニオン属
- CIは425¢より大きい。
- エンハルモニオン属
- CIは長三度に近く、425¢と375¢の間に位置する。
- クロマティコン属
- CIは長三度あるいは中三度に近く、375¢と250¢の間に位置する。
- ディアトノン属
- CI(および他の音程)は、250¢以下の「全音」に近似している。
プトレマイオスのカタログ
プトレマイオスは『ハルモニア論』の中で、いくつかの歴史的なテトラコルドを分類し、特定の理論家に帰属させている。
| 28/27, 36/35, 5/4 | 63 + 49 + 386 | エンハルモニオン |
| 28/27, 243/224, 32/27 | 63 + 141 + 294 | クロマティコン |
| 28/27, 8/7, 9/8 | 63 + 231 + 204 | ディアトノン |
| 40/39, 39/38, 19/15 | 44 + 45 + 409 | エンハルモニオン |
| 20/19, 19/18, 6/5 | 89 + 94 + 316 | クロマティコン |
| 256/243, 9/8, 9/8 | 90 + 204 + 204 | ディアトノン |
| 32/31, 31/30, 5/4 | 55 + 57 + 386 | エンハルモニオン |
| 16/15, 25/24, 6/5 | 112 + 74 + 316 | クロマティコン |
| 16/15, 10/9, 9/8 | 112 + 182 + 204 | ディアトノン |
| 『ハルモニア教程』での呼称[1] | |||
|---|---|---|---|
| 46/45, 24/23, 5/4 | 38 + 75 + 386 | エンハーモニック | Enharmonico di Tolomeo |
| 28/27, 15/14, 6/5 | 63 + 119 + 316 | ソフトなクロマチック | Chromatico molle |
| 22/21, 12/11, 7/6 | 81 + 151 + 267 | 強烈なクロマチック | Chromatico incitato |
| 21/20, 10/9, 8/7 | 85 + 182 + 231 | ソフトなダイアトニック | Diatonico molle |
| 28/27, 8/7, 9/8 | 63 + 231 + 204 | ディアトノン・トニアイオン | Diatonico toniaco |
| 256/243, 9/8, 9/8 | 90 + 204 + 204 | ディアトノン・ディトニアイオン | Diatonico diatono |
| 16/15, 9/8, 10/9 | 112 + 182 + 204 | 強烈なダイアトニック | Diatonico syntono |
| 12/11, 11/10, 10/9 | 151 + 165 + 182 | 均等なダイアトニック | Diatonico equale |
スーパーパーティキュラー音程
古代ギリシャで使われていたテトラコルドの記述には、テトラコルドのステップがスーパーパーティキュラーであることを好む傾向が見られる。
ジンス(中近東音楽におけるテトラコルド)
- ジンスも参照
アラブの音楽理論に於いては、テトラコルドに似た概念が存在する。ジンス(複数形アジュナース)とは、アラブのマカームを構成するために用いられる複数の階段状の音程の集合である。
テトラコルドの一般化
すべてのテトラコルドは完全四度という音程を共有するが、他の2つの音程は異なっている。完全四度を仮定し、aとbとする可変音程があった場合、テトラコルドを一般化して下記のように書ける:
1/1, a, b, 4/3
このテトラコルドを完全五度の上にコピーすることで、下記のようにヘプタトニックスケール(七音音階)を作れる:
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3a/2, 3b/2, 2/1
4/3も3/2の間の音程を9/8とした別の書き方が存在する:
[テトラコルド], 9/8, [テトラコルド]
当然テトラコルドはその複製と対となる必要はない。例えば、1/1, c, d, 4/3など:
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3c/2, 3d/2, 2/1
[テトラコルド1]、9/8、[テトラコルド2]
当然順番は逆に並べられる。
平均律におけるテトラコルド
当然、4/3の近似値を含む平均律には、それぞれ独自のテトラコルドの系列が存在し、7平均律から始まり、そのテトラコルドは1つだけ存在する:
1 + 1 + 1
平均律におけるテトラコルドを指定するために、ハイフンを使用した表記法を使用できる。このテトラコルドは次のように表される:
| テトラコルド表記 | ステップ間のセント数 | 0からのセント数 |
|---|---|---|
| 1-1-1 | 171 + 171 + 171 | 0, 171, 343, 514 |
10平均律のテトラコルド
別の例を考えてみる。10平均律の場合、4度で完全四度として機能する間隔があり、その値は480セントである。したがって、この間隔は、2つの1度ステップと1つの2度ステップの任意の組み合わせに分割可能である:
| テトラコルド表記 | ステップ間のセント数 | 0からのセント数 |
|---|---|---|
| 1-1-2 | 120 + 120 + 240 | 0, 120, 240, 480 |
| 1-2-1 | 120 + 240 + 120 | 0, 120, 360, 480 |
| 2-1-1 | 240 + 120 + 120 | 0, 240, 360, 480 |
これらのテトラコルドは全て互いに回転したもので、ギリシア的な分類ではCIが240セントであり、250セント未満であるがためにこれらは全て「ディアトノン」と分類される。
完全四度でない分割
作曲家は、完全四度以外の四度をテトラコルドを構成する材料として扱うこともある。低数の平均律には減四度や増四度を含むものがあるものの、6平均律、8平均律、9平均律、11平均律、13平均律、16平均律などに於いては完全四度に似たものが存在しない。
また、21/16、43/32、26/19、11/8のような純粋でない完全四度を分割することもできる。
ノンオクターヴスケールとテトラコルド
10分の1を3等分すると、3つの4分の1のサイクルが生じる。この分割を短十度で行うと、それらの4分の1のは完全四度のように見える。
Carlos Gamma (en) の例:
