テトラコード
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テトラコード、テトラコルド(英: tetrachord)とは通常、完全4度音程(純正か否かは別として)を、音を2つ追加することによって3つの音に分割したものを指す。
John Chalmers (en) の『Divisions of the Tetrachord』の中では「テトラコードは、より複雑なスカラー構造や和声構造を作り上げるための要素である。これらの構造は、地中海東部の古典文明に由来していることで知られる単純な7音音階から、多くの調を持つ実験的なガモットまで、多岐にわたる。さらに、ヨーロッパ、近東 (en) 、カトリック教会、正教会、イラン、インドなど、世界の多くの音楽の伝統的な音階は、今でもテトラコードをベースにしている。このように、テトラコードは世界中の多くの音楽を理解するための基本とされるのである。」と語られている。
古代ギリシアの属種(ゲノス)
古代ギリシア人は、最大の音程である特性音程(CI)の大きさによって、エンハルモニオン、クロマティコン、ディアトノンの3つの主要な属種を区別した。今日の理論では、ヒュペルハルモニオンと呼ばれる第4の属種が追加されている。
- ヒュペルハルモニオン属
- CIは425¢より大きい。
- エンハルモニオン属
- CIは長三度に近く、425¢と375¢の間に位置する。
- クロマティコン属
- CIは長三度あるいは中三度に近く、375¢と250¢の間に位置する。
- ディアトノン属
- CI(および他の音程)は、250¢以下の「トーン」に近似している。
プトレマイオスのカタログ
プトレマイオスは『ハルモニア論』の中で、いくつかの歴史的なテトラコルドを分類し、特定の理論家に帰属させている。
28/27, 36/35, 5/4 | 63 + 49 + 386 | エンハーモニック |
28/27, 243/224, 32/27 | 63 + 141 + 294 | クロマチック |
28/27, 8/7, 9/8 | 63 + 231 + 204 | ダイアトニック |
40/39, 39/38, 19/15 | 44 + 45 + 409 | エンハーモニック |
20/19, 19/18, 6/5 | 89 + 94 + 316 | クロマチック |
256/243, 9/8, 9/8 | 90 + 204 + 204 | ダイアトニック |
32/31, 31/30, 5/4 | 55 + 57 + 386 | エンハーモニック |
16/15, 25/24, 6/5 | 112 + 74 + 316 | クロマチック |
16/15, 10/9, 9/8 | 112 + 182 + 204 | ダイアトニック |
46/45, 24/23, 5/4 | 38 + 75 + 386 | エンハーモニック |
28/27, 15/14, 6/5 | 63 + 119 + 316 | ソフトなクロマチック |
22/21, 12/11, 7/6 | 81 + 151 + 267 | 強烈なクロマチック |
21/20, 10/9, 8/7 | 85 + 182 + 231 | ソフトなダイアトニック |
28/27, 8/7, 9/8 | 63 + 231 + 204 | ディアトノン・トニアイオン |
256/243, 9/8, 9/8 | 90 + 204 + 204 | ディアトノン・ディトニアイオン |
16/15, 9/8, 10/9 | 112 + 182 + 204 | 強烈なダイアトニック |
12/11, 11/10, 10/9 | 151 + 165 + 182 | 均等なダイアトニック |
スーパーパーティキュラー級の音程
古代ギリシャで使われていたテトラコルドの記述には、テトラコルドのステップがスーパーパーティキュラー級的であることを好む傾向が見られる。
ジンス(中近東音楽におけるテトラコルド)
- ジンスも参照
アラブの音楽理論に於いては、テトラコルドに似た概念が存在する。ジンス(複数形アジナス)とは、アラブのマカームを構成するために用いられる複数の階段状の音程の集合である。
テトラコルドの一般化
すべてのテトラコルドは完全四度という音程を共有するが、他の2つの音程は異なっている。完全四度を仮定し、aとbとする可変音程があった場合、テトラコルドを一般化して下記のように書ける:
1/1, a, b, 4/3
このテトラコルドを完全五度の上にコピーすることで、下記のようにヘプタトニックスケール(七音音階)を作れる:
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3a/2, 3b/2, 2/1
4/3も3/2の間の音程を9/8とした別の書き方が存在する:
[テトラコルド], 9/8, [テトラコルド]
当然テトラコルドはその複製と対となる必要はない。例えば、1/1, c, d, 4/3など:
1/1, a, b, 4/3, 3/2, 3c/2, 3d/2, 2/1
[テトラコルド1]、9/8、[テトラコルド2]
当然順番は逆に並べられる。
平均律におけるテトラコルド
完全四度でない分割
ノンオクターヴスケールとテトラコルド
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