オクターブ平均律

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オクターブ平均律(equal temperament, ET)あるいはオクターブの均等な分割[1](equal divisions of octave, EDO)はオクターブを等分割する音律である。前者はテンペラメントを、後者は等間隔のピッチ集合を指す言葉ではあるが、日本語ではn-平均律、英語ではn-edoの表記が両方の意味を兼ねる呼び方となっている。n が分割数である。

歴史

調律理論家が最初に"equal temperament"の用語を使ったのは、Low-complexity JI (en) を近似するために設計されたedoを指すことにである。同じ用語が現在でもランク1レギュラーテンペラメントを指す言葉として使われている。例えば、15edoは15-tone equal temperament (15-TET, 15-tET, 15tet, etc.)、あるいはもっと簡単に15 equal temperament (15-ET, 15et, etc.)とも呼ばれる。

"EDO"(EE-dee-oh)という頭字語は1999年にDaniel Anthony Stearnsによって作られた。元々は"equidistant divisions of the octave"[2][3]の略語としてであった。近年では小文字化され"edo"(EE-doh)と読まれることも一般的となった。

equal divisions of non-octave intervals (edonoi)の発展に伴い、純正な 2/1 を等分割していることを明確にする目的で"ed2"と書くことが試されるようになった。

ステップサイズの計算

n-edoの1ステップのサイズをセント値で知りたければ、1200 を n で割る。k ステップのサイズ s

[math]\displaystyle{ \displaystyle s = 1200 \cdot k/n }[/math]

となる。n-edoのステップサイズを周波数比で知りたければ、2 の n 乗根を求める。12edoの 1 ステップは 21/12 (≈ 1.059)となる。そのため k ステップの周波数比 c

[math]\displaystyle{ \displaystyle c = 2^{k/n} }[/math]

となる。特に、k が 0 の場合、c は 1 である。また k = nの場合、c は 2 である。

性質

EDOの音階はその一様なステップサイズのおかげで素直に働く。何人かの音楽家はこの一貫性をつまらないものと感じ、他の人々は作曲のためにこれが提供する基盤の価値を認めている。全ての平均律が共有している性質は、ステップサイズが一定であること、だけである。他の性質は全く様々である。小分割数のEDO、特に 5 から 24 は強烈で独特な特徴を持ち、作曲者にインスピレーションをもたらしている。

実用上の利点

フレットのある楽器

もしあなたがギタリスト (or a player of some other fretted string instrument, like a bass guitar, Appalachian dulcimer, ukulele, banjo, mandolin, sitar, saz, pipa, or zhong ruan) なら、EDOは一番シンプルなフレットボードのデザインを提供するだろう。全てのフレットがまっすぐにフレットボードを横断し、開放弦をどのステップに調律してもよい。しかしステップ幅が小さいEDOの場合はフレットが多すぎて混雑することが問題になりうる。その場合は、音程を減らしたed4 (en) や、弦ごとに弾ける音高を制限して役割分担するskip fretting (en) などの妥協案がある。

自由な転調

EDOはどのキーにも転調でき、調性が変化するようなことがない。移調も全く障害がない。これは学習にも有利であり、(純正律や中全音律やウェル・テンペラメントにあったような)調ごとの調性などを記憶する必要がない。12平均律の平等性に慣れている人は、それ以外のEDOに備わっているこの平等性に安心して親しむことができるだろう。

各EDOのページ

脚注